日々の暮らしのこと-mico

いろんなことを感じます。そのまま文字にします。

読書記録 ♯1

 

読書記録。

 

年の初めに、月2冊、本を読もうと決めてから1月はあっという間に過ぎてしまった。

ぼーっとしていると、気づいて振り返ったときに、本当に空っぽの人生だったというホラーが起こりそうで、ゾッとした。

 

という訳で、2月に入って、読む読む詐欺だった「土佐堀川」に着手することに。

こちらは言わずと知れた2015年期朝ドラ「あさが来た」の原作。

放映当時は「びっくりぽんや!!」の名台詞が話題になったという記憶ぐらいはあるが、ちゃんと観ていなかったので、詳しい内容はよく知らなかった。

朝ドラが話題にのぼる一方で、原作の小説がとても素晴らしいと、その当時よく聞いていたので、勢いで買うだけ買っておいたのだ。

 

そもそも、歴史小説を好んで読んだことがなく、難しい漢字や、ながぁ〜い名前に翻弄されて内容が入ってこないのではという勝手な先入観があったので、長い間『読まず嫌い』をしていた。(食わず嫌いならぬ)

それでも今、この作品を自ら手に取ったのは、現在の職場環境や自分自身の身の振り方、これからの生き方に悩んでいるからだろうか。

 

女というだけで、大した仕事を任せてもらうことがないまま勤続10年を超えた。職場も自分自身もその務め方に疑問を持ったことがなく、振り返ると、10年以上ものこの会社に奉仕して生きてきたが、何が自分に残ったのだろうか、と心底虚しくなった。

自分からもっと求めて働いていれば。

資格試験でもなんでも自分から動けば。

当たり前だと思わず、いろんなことに疑問を持って物事を見ていれば。

自分発の姿勢でいれば、もちろんもう少し違った今があったのかもしれないとは思う。けれど、それをする必要がない、しなくて正解という風潮があったのは本当だ。ほんの数年前までは。(考えてみると、コロナ前までがそういう雰囲気だったように思う)

そして今、目に見えて自分のような中身が空っぽの人間には、何も求められていないということを肌身でひしひしと感じながら、毎日を働いている。

ふと、今の環境に囚われずに気楽に考えてみた。自分とはこうだっただろうか?本当にやりたいことはなかったか?もっと生き生きと生活していなかったか?と。すると、今までどこかに封じ込められていた気持ちが、溢れ出てくるのを感じた。

今なら、なんでもできるんじゃないか?もう失うものはないのだし、ダメで元々で何かやってみようか。

そしてそれは少し楽しかった。

 

長くなったが、そういう経緯で、女性の社会進出についてということや、女性が果たす社会的役割について、自分ごととして初めて追及してみたくなったのだ。

土佐堀川」に描かれている広岡浅子の一生の、果たして何がそんなにすごかったのか、どうしても知りたくなり、ページをめくってみた。

 

あくまでも個人の所感なので、拙い感想には目を瞑ってほしい。笑

 

何より一番グサッと刺さったのは、広岡浅子が『行動第一』『現場主義』の人間だったことだ。

そうは言っても、本もかなり好きで多くの書物も読んでいたようだが、浅子のすごいところは、頭でっかちに知識を得るだけに留まらず、常にそれを実践に変え、更に利益に結びつけていったところだと思う。

まず動く。

商売に必要なことは、自分の目で見て確かめる。大賑わい?の米市場に女二人で平然と乗り込んで罵倒されながらその様子を物見していたところなど、物凄いと思う。

それがどんなに男社会の中でも、堂々と踏み込んでいく度胸は、読んでいて清々しかった。

当時はまだ明治初期。明治維新によって、時代が大きく変わる時だったとは言え、まだまだ女が商売のど真ん中にいることなんて考えられないような時代だったはず。今だってまだ、この会社の女性役員は何割で〜とか数値化されて話題にされるような世の中なのにだ。

しかし浅子は、はっきりとした目的のためにいつも堂々と正論を掲げながら、その世の中の理不尽さに立ち向かっていった。こういう時、女性の正義感というものはすごい力を発揮するのだなと思う。

 

また、浅子の視野は日本や世界に向かっていたことにも、本当に驚かされた。

浅子はいつも、自分の利益を得るために奔走したのではなかった。嫁ぎ先の両替商が軌道に乗るため、大阪関西一円の商業発展のため、日本の未来のため。

むしろその視野の広さ、志の大きさがあったればこその浅子の一生だったとも言えると思う。

人間、自分のことや目先のことだけに囚われているうちは、結局ことはうまく運ばないのだ。大願に立って動くからこそ、浅子の前にはいつも大きく道が開けていったのだと強く思った。

 

素晴らしい人の一生を読んだからといって、自分がすぐにこんな偉人と同じように振る舞えるようになる訳ではないが、希望は湧いた。

そしてほんの少し、未来が楽しみになった。

 

久しぶりにいい本に出会えたことで、毎日に張りが出たように思う。

 

まずは私も、本の虫にならず、行動の年にしてみようかと思う。