見返りのない他人のための行動に思いがけない幸せが。
かなり前にとても大切なものがなくなってしまった。
毎日使っている大事なものだった。
だから何度も探したけど、ついぞ見つからない。
渋々、全く同じものを購入して使っている。
今朝のこと。職場に来てすぐに電話がなった。
ちなみに私の出勤時間はとても早い。遅くても7時半。
朝のルーティンがあり、一人で淡々とそれを行うのが日課となっている。
そんな中鳴った電話。
『こんな早朝から誰やろ。防犯上、出ると危ないかも・・』と一瞬思った。
けど、もし上司の急な連絡とか大事な電話だったら責任取れないし・・と、恐る恐る受話器をあげた。
それは、落とし物が届いていないかとの問い合わせの電話だった。
うちの職場は一般の方も出入りする関係上、落とし物置き場がある。
そこに届いていないか、見てみてほしいというのだ。
その時、自分の心が一瞬濁るのがわかった。
朝のルーティンを、”落とし物が届いていないか確認しに行く”ことによって、乱されてしまうことに戸惑う気持ちが、残念ながら間違いなく、そこにあったからだ。
我ながら、そんな自分の心に嫌気が差す。
でもふと我に帰って、ここは職場だと言い聞かせた。
電話口には不安そうな声。
無くしてしまったものを早く見つけたいという気持ちは痛いほどわかる。
気持ちを切り替えて落とし物置き場へ走った。
残念ながら、その落とし物は届いていなかった。
見つけたら連絡をくださいという声に覇気はなく、見つけてあげられなかったという申し訳なさだけが残った。
しかし、実はそこで思わぬものと出会っていた。
なくしていた、私の落とし物が見つかったのだ。
何度探してもなかったものが、引き出しを一つ開けただけで呆気なく見つかった。
本当に不思議だった。
その時、早朝からの電話に感謝した。
落とし物を探してと、あのタイミングで電話がなかったら、この再会はなかったかもしれない。
一瞬葛藤したけど、ちゃんと電話に出て、要望に応えていてよかったと思った。
誰かのために動くことは、自分のためにもなるのだ。
きっとこの言葉は、本来はもっと心の部分のことなんだと思うけど。
朝から、とても清々しい気分。
年末に決めた、これからは誰かのために動くっていう決意を少しずつでも実行できてて嬉しくもなった。