ささやかで贅沢な夢。
夢がある。
ささやかな、今のところ何ひとつ現実味のない、いわゆる本当に夢のような話。
結婚して子育てが少し落ち着いたら、まだ体の動くうちに、小さなカフェをやりたい
という夢。
それはわたしの大事な人たちの憩いの場であってほしいし、わたしみたいな一人を好む人の大切な場所でもあってほしい。
もちろん、そういう場所になれるのならば、わたしにとってもきっと大事な場所になるだろうなと思う。
まるで家のようでもあるし、かと思えば非日常でもあるし、いつまでも居たいと思えるような場所がいいなぁ。
コーヒーはこだわりの一杯を出したい。(今のところ知識は皆無)
お水が美味しいお店でありたい。
メニューはそう多くなくて良くて、お食事メニューはないかもしれない。し、あるかもしれない。
その代わり、来た人の午後のひとときを彩れるような手作りのスイーツを出したい。
たっぷりのホイップの横に置いた濃厚チーズケーキに自家製のジャムを添えたもの。
こだわりのコーヒーで作った品の良いゼリー。
フワッフワのシフォンケーキを、これまたたっぷりのホイップやフルーツと共に惜しげもなく2切れ乗せたもの。
わたしの母が好きな、色とりどりの白玉フルーツポンチ。
外はカリカリ中は密度高めのふわふわ生地が詰まった、昔ながらの揚げドーナツ。
クッキーアソートなんかも良いねぇ。
レジ横には、おしゃれだけどもったいぶらずにパクパク食べれるぐらいの量が入ったクッキーの詰め合わせや、大きな1切れごとに包装したシフォンケーキ。
全部、シンプルなものがいい。凝ったものは嫌い。
量にこだわるのは、小さい頃、甘いものに飢えていたからかもしれない。
店内は北欧の家具や食器でいっぱいにして。
ドライフラワーをセンスよく飾って、わたし自身が居心地良い場所にしたい。
そしてその夢で絶対譲れないのが、本屋さんの併設。
わたしがミステリーものが好きだから、どうしても集まりがちだけど、置きたいのはもっと心安らぐ内容のもの。
暮らしのことや生活のこと、料理のこと、植物のこと、人間のこと。
人間が生き生きと自分らしく生きていることがわかるような本がいい。
手に取ると、それだけで心に陽射しが射すような本がいい。
昔見た絵本なんかがあっても良いなぁ。
小さな子供さんも安心してその空間に馴染めるような。
でも、こだわりは捨てたくないから、自分の選んだもの以外、『いい』と思ったもの以外、置きたくない。
と、今は思う。
こんな贅沢な夢、今世で叶うかは不明。
来世にもこの夢だけは持って行けたらいいなぁと、調子の良いことを考えたりする。
持ち越し持ち越しで、いつかそんな素敵すぎる空間で忙しく動き回るお節介おばさんになれる日が来るのか来ないのか。